事故のSaGa


エミリアの乗っていたシップは不幸にも事故にあった。
その結果、たった数名の乗客員は正体不明の所に来ていた。
エミリア「何なのよ、ホント・・・ここ、何処よ?」
他の乗客「さあね。僕にもさっぱり・・・?」
一緒に乗っていた乗客の一人が涼しい顔をしながら言う。
妙に胸元(乳首の)の星形のアクセサリーが似合っている。
何処かしら、コウモリを連想させる男だった。
エミリア「随分冷静ね。あなた、名前は?」
乗客「僕?僕はゾズマって言うんだ。まあ、僕のことはどうだって良い
じゃないか。君は?人のこと言えるのかい?君の方が冷静に見えるけど?」
エミリア「そうかしら・・・?」
実際、エミリアは困ってなどいなかった。むしろ、嬉しい感じさえ
していたのだ。
エミリア「少なくとも。どっかのリージョンであることには間違いなさそう
ね。」
ゾズマ「うーん。しかし、僕たちが全く知らないところだよ、ここ。
僕にだってここが何処だか判らないんだからね。だって、全然座標軸
の特定が出来ない。ここは俗に言う「未知の領域」と言うヤツだね。」
エミリア「ふーん。」
ゾズマはエミリアの態度に少なからず驚嘆した。
全く臆していないどころかそれを悠然と受け止めているようにさえ見えた。
ゾズマ「君・・・変わってると思うよ。」
エミリア「そう?人と同じじゃあ、つまんないと思わない?」
ゾズマ「君は・・・いい。普通の人とは違うことに喜びを感じる、か。」
ゾズマが言いかけた言葉・・・「君はむしろ、僕たちに近いかも知れない」
「僕たち」が指すのは普通の、いや異常でも人間の事を指すのではない。
ゾズマ「言い忘れたけど、僕は人間じゃないから。」
ゾズマは素っ気なく言ったつもりだった。また、それによってエミリアが
驚くとも思った。しかし、彼女の反応は彼の予想を超えていた。
エミリア「そう。その方がいいわ。つまんないもの。」
ゾズマ「・・・は?」
今のエミリアの言葉にゾズマは自分の耳を疑った。
エミリア「あなた、妖魔なんでしょ?知ってるわ。私のちょっとした
知り合いに聞いたことがあるもの。妖魔のこと。」
ゾズマ「はぁ・・・?どの様な知り合いなんです?」
エミリア「私の彼、IRPOに勤めてるの。そこにも一人無口なのがいて、
そいつが妖魔なのよ。だからどうって事無いわ。むしろ、こんなシチュエー
ションに人間なんて似合わない。かっこわるいじゃない。」
ゾズマ「そうかなぁ・・・?」
エミリア「そうよ、絶対そう!!」
ゾズマは心の中で思った。
ゾズマ(こいつにはかなわないな・・・きっと)

黒服の男は言った。
「これから、楽しくなりそうですね・・・ねえ、君もそう思うだろう・・・?」
そう、手の中の卵形の何かに向かって、言っていた・・・
05/27/1999