半妖のSaGa


アセルス「くっ!また追っ手かぁ!!」
しかし、追っ手はアセルスの赤い剣・・・「幻魔」の一太刀で消滅した。
アセルス「全く・・・一体、どれだけこんなのの相手をしなくちゃなん
     ないのさっ!」
    「白薔薇はいなくなっちゃうし、ゾズマもいない・・・」
    「どうして私ばっかりこんな目に・・・っ!!」
興奮のあまり、彼女の髪がざわめく。
彼女の髪は緑だった。決して普通の人間の髪の色ではない。
染めているのではない。
彼女は普通の人間じゃないのだ。
アセルス「妖魔の君、オルロワージュ・・・貴方の血のせいでこんな事に!」
    「私を普通の人間に戻して!」
彼女はある事故で妖魔の君「オルロワージュ」の血を受けた。
その結果、彼女は人間でも、妖魔でもない「半妖」と言う存在になってしま
ったのだ。
アセルスはこの中途半端は自分の境遇を呪った。
人間に戻る方法は知っている。しかし、それは不可能だった。
彼女の血の支配を断ち切ること・・・すなわち、妖魔の君を倒すこと。
しかし、今のアセルスにはそれは無理だった。だから逃げた。
アセルス「しかし・・・セアトは私の何が憎くてこんな目に・・・」
    「ちくしょぉーーーーお!!!」
アセルスの身体が変化する。人間から妖魔へと。
アセルス「まただ・・・またこの姿に・・・」
妖魔寄りの自分の姿に気に入っていないと言えば嘘になる。
鏡で見たことがあったが、その時アセルス自身、「綺麗・・・」と
思ったのだ。
アセルス「またっ!」
幻魔の一撃がまたもや唸る。
しかし、さっきの一撃とは威力に大きく違いがあった。
さっきの剣の長さは少し長い大剣だった程度だが、今度のはさっきの
20倍はあろうかと言う巨大な物だった。
アセルス「私はこれからどうなるんだろうな・・・」
妖魔は姿形こそ人間にきわめて近い。が、その体系は大きく違い、
性別の差がない。また、年を取らないのだ。
だから、アセルスは永遠にこのままの姿で生きていくのだ。今のママでは。
アセルス「今度はっ!?」
一際大きな気配がした。今度は大物だろう。アセルスにも気合いが入る。
ウェズン「アセルス・・・にがさんぞ・・・」
アセルス「ウェズン!黒騎士隊長が、どうしてここに!?」
ウェズン。妖魔騎士団「黒騎士」団の隊長。その実力はセアト、イルドゥン
を軽く凌ぎ、オルロワージュに次ぐ、とまで言われている。
アセルス「セアトが・・・?」
ウェズン「まあな・・・私にとってはお前などどうでも良いのだが、セアトの
     メンツを立ててやるためにも、な。」
アセルス「ほっといてくれないの?」
ウェズン「ああ・・・オルロワージュ様の元を去った者は処罰しなくては
     ならんからな・・・」
アセルス「そう・・・」
ウェズン「アセルス。私は個人的にはお前のことは買っていたのだが・・・
     残念だ。ここで死んで貰う。」
来る!アセルスは身構えた。
アセルス「幻魔よ!」
ウェズン「!その剣は・・・!」
ウェズンの最初の一撃は何とか凌げた。
アセルス「私の為の武器よ・・・いい武器でしょう?」
ウェズン「ああ・・・それがお前の力の、格の高さなのだ。
     それだけの力があったとはな・・・多少、見くびっていたようだ。
     今度は手加減なしだぞ。」
アセルス「・・・」
誉められてはいたが、内心アセルスは複雑な気持ちだった。
ウェズンは滅多に他人を誉めないことで有名だった。その彼に誉められたと
言う点では彼女は大いに自慢できるのだが・・・
しかし、妖魔のことで誉められたくはなかった。
ウェズン「なかなかやるな!!」
アセルス「剣技には自信があるっ!!」
ウェズン「そうか、之はどうだ!!」
ウェズンは大きく振りかぶり、構えをとる。
アセルスは一度だけ見たことがあったが、この技は・・・
アセルス「奥義、滅殺・・・」
ウェズン「お前にたえられるかぁーー!?」
アセルスは直感で見抜いた。こちらもやらなきゃ、やられる・・・
アセルス「おおおおお!!」
ウェズン「何!?」
ウェズンもアセルスが突然攻撃を仕掛けてきたことに少し気が乱れた。
ウェズン「しかし!私のこの技の前では無力!滅殺!!!!」
アセルス「今だ!!!」
アセルスはわざとウェズンの攻撃をうけようとして・・・
アセルス「幻魔相破ぁぁぁぁ!!!!!」
二人の最強の技がぶつかる。
ウェズン「何!?うわぁああああー!!」
勝ちを確信していたウェズンはアセルスの予想外の反撃の防御が出来なかった。
ウェズン「う・・・うーむ・・・」
    「アセルスは!?」
    「い、いない!?」
ウェズンの視界が開けた時、彼の目にはアセルスの姿が見あたらなかった。
手応えが無かったので、やってはいないはずだ。しかし、逃げたとも思えない。
気配がしない。
ウェズン「一体・・・」
アセルスは、その時からファシナトールから消えた。
05/22/1999